外面世界の隙間(アニメ、音楽、文学において)
「新世紀エヴァンゲリヲンTV版の解釈さまざま 」という記事の最後部にも書きましたが、例えばエヴァで言う「使徒が高層ビルを破壊する」といったことで逆に内面世界(自分の内心)と向き合うようになる、というようなことがあると思います。日頃外面世界ばかり見ていて、おそらく老衰死する数日前にでもならないと内面世界に耽溺する境地に到達しないと思いますが、ともかく、外面世界が全てじゃないんだよ、と思い出させてくれるものをアニメ、音楽、文学から。*1
アニメはエヴァ。詳細は「新世紀エヴァンゲリヲンTV版の解釈さまざま」参照。
音楽は山下達郎でしょうか。『踊ろよ、フィッシュ』『Sparkle』『高気圧ガール』とか、よく人の声とか電子音(←ほかに言い方・・・)をあんな様に聞いたこともない風に使えるなと思う。
SPARKLE 山下達郎 1985 2/23~24 神奈川県民ホール Live - YouTube
文学は、いろいろあるけども日野啓三。例えば、『風を讃えよ』という作品(日野啓三『あの夕陽 牧師館』講談社文芸文庫に収録)はセンターの過去問で最初見たが、それで本を買った。普通我々は風を「現象」として扱っているし(実際そうである)、意識することもないが、これは風を(というか、地球を)身近に感じられる人の話。驚いた。とても疑問なのだが、こうした作品を書いた人は、日本でまともに暮らせるのだろうか? 感性が麻痺しないで、よくこの国で生きて来られたと思う。死者の5人に1人が自殺(15分に1人自殺、自殺者3万人程度)する病理国家で。
【おまけ・自殺率の高さについて】
よく知らないが、日本の行政上の問題(「いのちの電話」などの助ける制度の不足)なのか、経済不況のせいなのか、あるいは日本人の性質の問題(周りを気にする、会う人によって人格の使い分けをするなど)なのか、なんなのだろう。
電車に飛び込んでくる人を運転席後ろから見たことがあるが、「ホームからモノが倒れてきて、ガラスにヒビ」である。飛び込む直前は、ヒトに見えなかった。完全にモノだった。そして乗客の人も、「チッ」という感じで、駅員もそういう感じで、死体や血液を掃除して、翌日、車掌が乗客に放送で謝るという感じ。飛び込み現場をわざわざ遠くから見に来る人もいたが、そういう人はよくよく現場を見て、全て目に焼き付けた方が良いと思われる。
完全に想像だが、戦後直後と違ってゴロゴロとしていても生きられる現代、どうも、生きていても「生きている実感」がないのではないだろうか。だからアクション映画を見て生き生きした生を想像したり、何か身近に危機が訪れて自分が命を張って人を救うことを想像したりするのではなかろうか。そして、自分が生きていることを確かめる為に、或いは簡単にいえば自分にも鮮血が流れていることを確かめる為に死ぬのではないだろうか。その辺の所、今後勉強してみたい。
新世紀エヴァンゲリヲンTV版の解釈さまざま
2015年春~夏にTV版、旧劇、新劇(序破Q)を見ました。有名なアニメでファンも多いしパチンコにもなっているのでという理由で、たまたま最初に目に入った「アスカ、来日」から見たと思います。それを見て「面白い」と思って本腰入れて(勉強に本腰入れてほしいものです)全話見たという感じでした。
まず、TV版以外も入れた大分類それぞれ大雑把な印象を言うと、
TV版・旧劇:【世紀末的世相、庵野秀明氏の影響下で出来た、あの時代でしか出来ないであろうアニメ】(今の「アニメ」と比べて、エヴァ製作に影響を及ぼした原因の「根の深さ」が全く違う。但し、「エヴァが世間に与えた影響」は、今のアニメと同レベルで、まあ「綾波、アスカかわいい」とかそんなもんだろうけど。それは視聴者側の問題であって、エヴァの問題ではない。わかりづらいけど)
序・破:綾波↔シンジ←アスカという関係のラブコメ。エヴァじゃない。
Q:庵野氏の金稼ぎ。御家庭も出来たし、安定志向の商業主義へ。
という感じで、今回はTV版について扱います(新劇を扱うことは無いでしょう)。以下に複数の解釈を列挙します。
【単純アニメ的解釈】つまり、「初号機かっこいい」「綾波かわいい」といった、アニメをそのままアニメと取る解釈で、この解釈によればエヴァは「襲来する使徒を葛藤の末退治するアニメ」で、最終話のシンジへの「おめでとう」とは、「使徒に勝てておめでとう」の意。
【キリスト教神学的解釈】エヴァ製作側も「衒学アニメ」と自称するように、意図的にこう見せているし、この解釈を取る人も多い。つまり、旧劇の最後のシーンで「シンジは第二のアダム、アスカは第二のエバ」だとか、「綾波レイは三位一体における、『霊』」だとか、まあ色々。実際、十字架が登場したり、SEELE(ゼーレ)とかもドイツ語で「魂」を表したり、人類の「原罪」「救済」だとか、製作側もそう見せている。ただ、重大な問題がある。それは、①最終話の「おめでとう」の解釈がつかない、②そもそもエヴァは(時々出て来るように)「自分の内心との対話・葛藤」とかシンジ・アスカにおいては「他人との接し方」みたいな、心理学的要素が強いのに(②の後者はキリスト教的どころか日本的な問題である)、それの解釈が漏れている、という二点。そこで、これは不適である。
【発達心理学的解釈】迫り来る「使徒」に対処するため、各人エヴァの操縦席に乗るのだが、その度にあの閉鎖空間の中で「自分の心との対話」が否応なく始まる。「なんでエヴァに乗るのか?」「自分は本当に『強い子』なのか?(アスカ)」「自分に存在価値(Raison d'être)はあるのか?」など。つまり、「使徒」とは社会において襲い掛かってくる「課題」であり、それと対面することが自分と向き合うことに結びついている、と取る。私はこの説に賛成。最終話の「おめでとう」とは、そうした葛藤、自問自答の末、「僕はここにいてもいいんだ」と解決したシンジへの祝賀。また、これは考えすぎかもしれないが、エヴァは搭乗者(シンジ・アスカ)の死んだ母親と関係がある(「ずっとここにいたのね、ママー(アスカ)」など)のを踏まえて、シンジが「コックピットは血の匂いがする」という発言を何度かすることから、シンジ・アスカがコックピットに乗る事は出産の過程を逆から遡っているのではないか、そしてコックピットは胎内ではないか。そうした「自分が産まれていない状態」に戻ることで自分の人生を外から眺め直し、自分と対話しているのではないか、と思った。『心よ原始に戻れ』という曲名からも、「母胎回帰」という概念がエヴァで重視されていると思える。
【社会学的解釈】製作されたのは世紀末であり、「21世紀が迫って、しかも1つのミレニアムが終わる!」という年号面での閉塞感に加えて、バブル崩壊と、それによる住専問題(これは大事なのでいつか触れる)、土地価格崩壊、リストラなどの経済的閉塞感によって、一気に生活が暗転した多くの人々が「なんで俺生きてんの?(自分の存在理由)」ということについて考えざるを得ない状況になり、オウム真理教など宗教が流行った。「新世紀が迫っているのに、何の課題も解決できていないじゃない。自分はなんで生きてるの?」という精神的状況が世間を包んだと思う。
『心よ原始に戻れ』を聴いたことがあるだろうか?(( あの歌詞が分かりやすいと思う。変な言い方だが、「使徒」が街の高層ビルを壊していくたびに、パイロットは自分と向き合うのである。外の表面世界が壊れていくほど、自分の内面世界をより深く発見する。そうして見つけてしまった内面世界の、(外面世界に向けていない)「自分」との調整を果たすことを続けていく(アスカで言えば、外面は「強くて自立的な子」だったが、内面は「勝ち続けないと自分の存在理由が分からない子」だった)。それが戦い。割と【発達心理学的解釈】と親和的である。要は、世相が影響を及ぼしていたとする考えであり、私は賛成。というか、1995~1999の日本そのものを体現している。
エヴァにおいてシンジが自分の存在理由を発見し自己の課題を解決した様に、エヴァは「新世紀の理想的な迎え方」を示した。だが、日本は結局ズルズルベッタリで、20世紀の問題を21世紀に持ち越してしまい、経済不況もマシになるに従い、内面世界から目をそむけ、「高層ビル」の外面世界に囚われるようになる。
先ほどの「エヴァコックピットは胎内」の話と関連するが、『心よ原始に戻れ』というタイトルからも分かるとおり、エヴァは、「産まれる前の、母親と一体の状態で自分と向き合ってみる」ことが多い。それと、よく綾波が服を着ないで出て来たり、その他全般そういうシーンが多いのは、庵野氏が未体験だったのが影響していると思う。逆に、未婚だったから捨て身でいろいろ挑戦でき、TV版が生まれた、というのはある。新劇は、金儲けに入って、ただのラブコメと映像技術自慢になってしまった。
2016年度夏休みにおける勉強内容と参考書まとめ
Naverまとめみたいなタイトルです。以下に、内容別にやる予定の参考書を挙げます。
数字が若い方が優先度が高いとします。
1、法学
1-1、民法(一通り)
内田貴『民法Ⅰ~Ⅳ』東京大学出版社(Ⅰは第3版、Ⅱ~Ⅳは第4版)
通読して、その度にルーズリーフに概要をメモします。((2周目に入る前に、そのルーズリーフを通読します。また、試験がある前も時間が掛からないのでルーズリーフの方を見ます。Ⅲ~Ⅳは近時購入予定。
これはまだ使う段階か微妙。攻守の法学的論理構成を理解出来る段階に成ったら使う予定。Ⅱ~Ⅲは未購入。
『ポケット六法(2015年度版)』有斐閣
民法改正もあるし2016年度版買えよ、という感じですが、出費が嫌なので買わず。
1-2、刑法
刑法各論の方は、総論の方の理解が深化してから買うはず。各論つまらない。
1-3、刑事訴訟法
上口裕『刑事訴訟法』成文堂
全容の理解への道のりは遠い。警察法・警職法・道交法が楽しそうなので、そっちにも手を出すかも。
1-4、行政法
芝池義一『行政法読本(第3版)』〃 本体2900円
後者は、入門に容易らしいが、ということは理解が深化した後は使えないんじゃ?というケチの発想で、どちらにするか迷っています。どっちもやれ、と言われそう。
1-5、租税法か独占禁止法等経済法
詳細不明。これは、趣味&社会活動上の実益追求のためです。
2、数学
2-1、微積分法
高校の参考書(Focus GoldⅢC)自分が進歩してないのを実感
2-2、解析学
神谷和也・浦井憲『経済学のための数学入門』東京大学出版会
1度読んで、数学的思考の骨格が見に付いた。
2-3、行列
『教養の線形代数』培風館
3、外国語
3-1、英語
TOEFL関連 Reading以外
3-2、フランス語
仏検関連 特に単語(というか、フランス語は多義語ばっかしで用法も多いので、これは当然)
3-3、デンマーク語
基礎から語法をやる。文字がかっこいいし、デンマークって国民の幸福度が高いって聞いたし、古城が残っていてシェークスピアの舞台みたいだし。
3-4、3-1~3-3の勉強の合間の気分転換用言語
アラビア語(黒柳恒男・飯森嘉助『現代アラビア語入門』大学書林=買うべきではありません!誤植ばっかり、字は見えにくい、間違いもある。)・ラテン語(山下太郎『しっかり学ぶ初級ラテン語』ベレ出版=復習)・ドイツ語(大岩信太郎『新よくわかるドイツ文法』朝日出版社)
4、高校理科の復習
化学>生物>物理>地学の優先度
以上。
会津旅行に際しての参考書
丁度昨日メイン本棚を七割方大幅整理したので、以下に2016年8月中の2日間に亘って行う会津旅行に際して読む予定の本を挙げてみます。
会津旅行は583系を使う臨時快速あいづ号に乗車し、またそれを撮影する事を第一の目的として行う旅行で、付随して会津藩についての観光を行うものです。行先は会津若松を中心に扇島等です。
2、〃『奥羽越列藩同盟』〃
3、〃『会津落城』〃
4、一坂太郎『幕末維新の城』〃
6~9、石光真清『城下の人』『曠野の人』『望郷の歌』『誰のために』中公文庫
中央公論社の回し者みたいなリストになっていますが、中公文庫、中公新書にハマっているので仕方ないです。大昔は新潮文庫、昔は岩波文庫・講談社新書ばかり買っていたですが、段々日本史や随筆、ノンフィクション系が好きになってきたようです。
あとは、歌。
3、霧島昇『白虎隊』
2・3はForesta(フォレスタ)が歌うのを聴いています。
肝心の583系N1・N2編成については、後日書くと思います。個人的には、もう休ませた方が身の為、と考えますが。
【雑話】
ついでに、
森銑三『史伝闊歩』中公文庫
〃『明治人物夜話』岩波文庫
みたら、鍋島閑叟と狩野亨吉が出ていたので、是非読んでみたい。