SHIINBLOG

読書、旅行、音楽など

読書、旅行、音楽について

何も無い

Gustav Mahlerの作品の中で好きなのは

 1.「大地の歌」(交響曲第8番と第9番の間に作曲)

 2.交響曲第4番

の2つ。まあ共に世界観が類似している所も多かろう。逆に、人気の第1番が、聴いていられない。どーしてもガチャガチャうるさく聴こえてしまう。

どうしてマーラーは時々、急にこういった明るい、至福の音楽を作れるのか。それは、マーラーが「常に病的に死の影を恐れ続けた」からだと考えられるし、自分もそう思う。死を怖がる、終わりを意識するほど、生の明るさが意識される。

むかし、自殺しようと帰宅時(夜)、駅の近くの河川に向かったことがある人が、自殺を考えた理由として、「毎日毎日、電車に乗って往復するだけで何もなくてゲンナリした。誰にも必要とされていないし、死んでもよいと思ったから」と言ってきたことがある。「なにもない」から自殺に向かう事が(とくに、現代は)あるのではないか、と思った次第である。こうした精神状況の改善方法は、とにかく(私の趣味の範囲で言うと、だが)庭園に行ったり、家族以外の誰かに会ったりすることで、下手に解決へと積極的に動かない方が(精神的にそちらに動けないだろうが)良いと思われる。ちなみに、前出の人は、「揺れる川面をじっと見ていたら向かい風の強風が吹いてきて、止められたようだったから」との事。深層的には、何かしら理由を見つけて死にたくないのであろうか。

【2016年8月】読んだ本

先頭の数字は通し番号。()内は読んだ日付。

 

1(1)、竹内正浩『地図と愉しむ東京歴史散歩 地形篇』中公新書

2(1)、星亮一『奥羽越列藩同盟』〃

3(2)、半藤一利『幕末史』新潮文庫

4(2)、磯田道史『龍馬史』文春文庫

5(2)、〃『歴史の愉しみ方』中公新書

 これは、おすすめ。「勉強が楽しい」という感覚が分らない人が多いと思うが、勉強が楽しいってこんな感じだよ、と伝わってくる。古文書解読の勉強始めようと思うきっかけ。

6(2)、入江相政『城の中』中公文庫

 入江相政は終戦時の侍従職で、八・一五事件の被害者。大宮人だけあって、近衛師団が掛かってきても泰然、硫黄島が落ちても、「これでB29は定期便で来るようになるだろう」とか言っている。ちょっと、侍従職になりたい。

7(5)、沢木耕太郎『流星ひとつ』新潮社

 今月文庫化されたのですが単行本を持っているので、そっちを読んだ。引退直前の藤圭子との対談。

8(5)、佐藤充『誰も語りたがらない鉄道の裏面史』彩図社

 信楽高原鉄道の事故とかは、ちょっと管理体制がひどいぞ。

9(6)、加藤周一『読書術』岩波現代文庫

 関係ないけど、岩波は三島由紀夫が嫌いですなー。岩波文庫にも岩波現代文庫にも入れない。『共産党宣言』とか、そっちは充実しているのにねぇ。

10(6)、朝比奈隆朝比奈隆 わが回想』中公新書

 指揮者・朝比奈隆京都帝国大学法学部卒だとは知らなかった。

11(7)、市川寛『検事失格』新潮文庫

 『刑事訴訟法やっちゃうと、下手に人権意識が付いちゃうから検事には不向き』なんだと。やっぱり、権力を持った訴追側はこうなりますか、という話。検事一人で3桁の事件も持つことがあるとか。

12(12)、『日本の歴史(第五卷)』小学館

 面白い。梁塵秘抄がよく引用されている。今夏、出光美術館で観た「伴大納言絵巻」もあって懐かしい(子供の喧嘩に親が出るシーンね)。

13(14)、種村直樹『時刻表の旅』中公新書

14(19)、磯田道史『江戸の備忘録』文春文庫

 やっぱり、すごい人だ、磯田さん。

【2016年8月】買った本

先頭の番号は通し番号。()内は、買った日付。@以下は、購入場所。

計27冊、34,694円。お金が無くなる筈である。

 

1(7)、市川寛『検事失格』新潮文庫@PARCO渋谷店

 閉店日。洋書は50~90%OFFになっていたが、全部写真集なので買わず。もっと早くいっていればよい洋書があったかもしれない。

2(10)、池田亀鑑『平安朝の生活と文学』ちくま学芸文庫@生協

 大学の講義で名前が出てきた、「源氏物語三部説(=光源氏の出世、転落、宇治十帖)」提唱者で、写本の鬼。

3(〃)、中村彰彦保科正之中公新書@〃

 会津行ったので。著者は宮脇俊三だか誰だかと関係があるとどっかの本にあった。保科正之は立派な大丈夫。

4(〃)、毛利敏彦大久保利通』〃@〃

 大久保利通は日本史史上、有数の「政治的」人間。

5(〃)、武部健一『道路の日本史』〃@〃

 一面平地のモンゴルなどと異なり、地形の入り組んだ日本では交通路は大体変わらない。

6(〃)、北岡伸一後藤新平』〃@〃*1

7(〃)、毛利敏彦江藤新平』〃@〃

 似ていてややこしい。

8(〃)、佐々木克戊辰戦争』〃@〃

 これも、会津行ったので。中公文庫・中公新書のファンである。

9(〃)、大西英文『はじめてのラテン語講談社現代新書@〃

 講談社現代新書の新しいカバーはセンスが無い、という人が多いが、自分はむしろ好き。カサブランカの「カサ」は英語でいうcase、ブランカは英語でいうblank、フランス語でいうblancだよ、などとラテン語の子孫の言語(インド=ヨーロッパ語族ラテン系言語)についてまでも話は広がる。ラテン語については、いつか書くかも。

10(〃)、内田貴民法Ⅲ(第3版)』東京大学出版会@〃

 債権総論、担保物権

11(〃)、〃『民法Ⅳ(補訂版)』〃@〃

 親族、相続。一番ドロドロしたとこr(ry。

12(〃)、芝池義一『行政本読本』有斐閣@〃

 行政法入門として。高橋和之立憲主義日本国憲法(第3版)』、山口厚『刑法(第3版)』と似たような背のデザインのやつです。

13(〃)、『日本短篇文学全集(全四十八卷揃)』筑摩書房@高原書店

 11,000円程度。ちょっと、近代以前が薄いな。好きな上田秋成が入っているから良いが。

14(12)、『会津女性の物語』歴史春秋社@会津武家屋敷歴史資料館

 「第一次会津旅行」中に買った。

15(19)、磯田道史『江戸の備忘録』文春文庫@啓文堂渋谷店

16(〃)、〃『無私の日本人』〃@〃

 磯田道史さんは、理想の学者。福沢諭吉の言う、「実学」の学者といえよう。(『歴史の愉しみ方』中公新書だかに、実際それを目指していたと書いてあった気がする。)

17(〃)、泉麻人『大東京23区散歩』講談社文庫@〃

 地図だけでも素晴らしい。わかりやすい。

18(21)、迫水久常大日本帝国最後の四か月』河出文庫@河野書店

 鈴木貫太郎内閣内閣書記官長(今でいえば内閣官房長官か)。毎度軍部に殺されかける。

19(〃)、吉川幸次郎陶淵明伝』中公文庫@〃

 最近自分の中でオリエンタリズムが勃興中。

20(〃)、ダグラス・マッカーサーマッカーサー大戦回顧録』〃@〃

21(〃)、中村彰彦『ある幕臣戊辰戦争 剣士伊庭八郎の生涯』中公新書@〃

 会津旅行が終わっても(会津旅行についてもいつかまとめないと)、依然幕末の本を蒐集。

22(〃)、東京大学史料編纂所『日本史の森をゆく 史料が語るとっておきの42話』〃@〃

23(〃)、友田昌宏『戊辰雪冤 米沢藩士・宮島誠一郎の「明治」』講談社現代新書@〃

 会津旅行前は奥羽越列藩同盟側に立っていたが、白河城、猪苗代城あたりあまりにも作戦がいい加減なので、最近西軍(官軍と自称)側に立っている。

24(〃)、松浦玲『徳川慶喜 将軍家の明治維新(増補版)』中公新書@〃

 また幕末の話。

25(〃)、笠原英彦『歴代天皇総覧』〃@〃

 便利。読んでいるだけで面白い。

26(〃)、江村洋ハプスブルク家の女たち』講談社現代新書@〃

27(〃)、加来耕三『刀の日本史』〃@〃

 最近出たばかりなのに、もう古本で並んでいる。会津で日本刀を色々見て興味が高まっていて、この本読みたかったのでラッキー。加来耕三さんは「英雄たちの選択」にも出演していてよく見る。戦う日本史家。

*1:

https://www.youtube.com/watch?v=qlCn9cYvdaI

「来た丘」という部分で、毎回北岡伸一が頭の中に出て来る

藤圭子は「暗い歌手」か?

1950~1980年は日本人が「生きていた」感じがする時代であると思っている。それを最も体現したのが、変なことに「暗ぁ~い歌手」としてデビューさせられた藤圭子だと思っている。以下に色々理由らしきものを示す。

【戦後の、生への意思】戦後直後は生きるためならなんでもやった。それは、

1、「戦争が終わったのに今から死んでたまるか」というクソ意地、

2、「男なら一度の敗戦・・・もとの日本にして返せ(こういう歌があったと佐々淳行『焼け跡の青春・佐々淳行』文春文庫40頁)」という意地

によるもので、高度経済成長まで人々の間で戦争は続いていた。貧困、物資不足という形で。実際の戦争で兵士や防火組として死ねばそれは栄誉ある戦死、無念の戦死となるのに対して、戦後は死んでもそれはただの「野垂れ死に」で、「負け」である。死が近づくと生が意識される。食管法を遵守した人(東京地裁の裁判官や帝国大学教授など)もいたが、それは権力側の意地によるもので、一般人はそんな法律も当然そっちのけで腕が抜けるくらいの食料の大荷物を田舎から運び込んだり、列車で丸二日間たちっぱなしで食料調達に行ったりと、「法よりも現実」の主義で生きるために動いた。現代から思うと、そこに「生」を感じる。

 

【生とは生々しい】岡本太郎『自分の中に毒を持て』青春文庫あたり見れば分るとおり、岡本太郎は「美とは『綺麗ね~』で済むようなものではなく、もっと生々しく、露骨で、こちらの身に迫ってきてそのため不快感さえ与えるものだ」というようなことを言っていて、それはそのまま生命にあてはまるとする。実際、米兵が落とした食べかすに駆け寄ってそれを食べる光景、全員が食料調達のために列車に詰め込んで乗り込む光景からは生々しいという感じがする。

 

藤圭子の表層】藤圭子も「戦争は知らないがその影響をもろに受けた」1950年代生まれで、しかも東北・北海道で吹雪の日も一家で歌を歌って回ることで生計を立てていた。

色々あってスカウトされて東京に来て巡業するようになるのだが、東京で沢ノ井龍二(石坂まさを)に会い、以後藤圭子石坂まさをに引っ張られるようにして活動を展開する。石坂まさをがすごい人物で、なにがすごいのかというと熱量。五木寛之『怨歌の誕生』双葉文庫石坂まさを『きずな 藤圭子と私』文藝春秋を見ればわかるが、藤圭子に生を掛けている。

注意すべきは、藤圭子がデビューする1969年(昭和44年)あたりは小野田さん、横井さんの帰還や三島由紀夫自決など、「戦争の影は少しずつ消えていったが、貧困や思想的反発から、『街がキレイになってゆくという復興』に乗り遅れた人々が出てきて差が生まれてきた」時代という事。五木寛之は、藤圭子は「民衆からの無言の怨みを知らず知らず巡業によって集めて、あの歌声になった」というようなことを言っているが、趣旨は分かる。殴られても蹴られても、結局反抗はしないがしかし闇の中からジッと無言で睨んでいるような怨みを歴史上無名である民衆に感じる、というようなことで言語化しがたいのだが。

そうした時代のなかで、いわば不幸を売りにして、人々に「藤圭子=不幸な子」のイメージを植え付けることで石坂まさを藤圭子デビューに成功した。このあたり、前出の五木寛之の本に収録されている短編(藤圭子デビュー前に発表)に似ていて、石坂まさをはこれを参考にしたのでは、と疑う。デビュー後も、石坂は藤圭子に対し「なるべく笑わない様に」徹底し、かつ、父親・母親について不幸を週刊誌に流し続ける事で、「藤圭子=不幸な子」のイメージを定着・更新し続けた。それによってレコード販売も伸び、空前絶後の記録に達した。

 

藤圭子の本質】1970年10月23日の渋谷公会堂の公演は1周年記念で、当時19歳である。しかし、生涯で最も上手い音源である。1955~1969、1970~1985、1986~1992と分けると最初が春日八郎、三橋美智也三波春夫水原弘で、真中が日本の文化レベルが圧倒的に世界最高だった時代、最後はそのおつり、そしてバブルでパアという感じだが、その1970~1985にあって圧倒的差をつけて上手い。

1、そもそも藤圭子は、芸歴が長いので声に持久力もあるし、天性で上手い

2、(五木寛之に言わせれば)当時はまだ「怨み」に裏付けされた歌声をもっていた

3、渋谷公会堂の音響が最高

4、バックの演奏がよく歌声にマッチしている(対して昭和46年サンケイホール公演の演奏はひどい)

あたりが理由だろうか。2はよくわからないが。

私は「星の流れに」「港が見える丘」「長崎は今日も雨だった」が特に好きだというのは置いといて、藤圭子はその公演で戦後からの代表曲を選んで歌った。歌唱から勿論五木寛之の言うようなことも感じるのだが(「星の流れに」の3番、「闇の夜風も」のあたり等)、なによりも、「ああ、この人は今まで這ってまで生きてきてとうとうここに至ったんだな」というように、強い生命力を感じる。考えてみれば、吹雪の中、一軒一軒回って歌を歌い、ある日は寺の縁下で寝て生きてきて、やっと渋谷公会堂に至った人に、強い生命を感じないはずがない。踏まれてもなにされても生きていく、という図太さを感じる。岡本太郎の言に通じると思われる。藤圭子というと、「あの自殺した人ね」という感じが最近だが、19歳で頂点を極めて人よりも早く大人になった人が、残りの人生何をしようというのか。*1

 

石坂まさをの功罪】上のような感じで、結局「這って生きてきた」藤圭子は、石坂まさをにより「藤圭子=不幸な子」という生涯消えない刷り込みをさせられた。それによって爆発的に売れはしたが、同時にそこが藤圭子の限界になってしまった。つまり、聞き手からすれば「藤圭子=不幸な子=闇」という理由で、他の歌手と別枠で、なにか見てはいけないものを見たような、これからの社会で埋もれていくような感じ(実際、この後は花の中三トリオなどで、更にその後はバブル世代になり文化レベルは世界頂点から真っ逆さまに転落する)である。藤圭子が明るい歌を歌えば、「似合わない」「らしくない」ということになってしまう。新宿で自殺をすれば、「やっぱり『新宿の女』ね」と言われて、もう見返されることは無い。(そもそも歌謡曲全体がもう見返されなくなってきている)

藤圭子 港が見える丘 昭和45年10月 渋谷公会堂 - YouTube

*1:当時の人間は今の人間と比較にならないくらいはやく大人になったのに、その彼らよりもはやく大人になったのである

日本史と異教科結び付けて勉強する試み

吹奏楽で「バビロン川のほとりで」という大好きな曲があって、「バビロン川」とはオリエントの「ティグリス・ユーフラテス川」の事なので、私はこの曲を聴く度に古代オリエント諸国家の軍人が、馬やロバの曳いた戦車の上で槍や弓を持って交戦している様子を思い浮かべるのですが、こんな感じで、異なる教科同士を結び付けて勉強できないだろうか・・・できるはずだ、という内容。

 

バビロン川のほとりで/By the Rivers of Babylon - YouTube

 

【建国】「大黒様の歌」(「大黒様は誰だろう、大国主命とて・・・」のヤツ)で建国神話から入ろう。

古墳時代】レキシのハニワの歌とか聞いてもいいね。

飛鳥時代

奈良時代上代折口信夫死者の書』でいいんじゃないかな。当然『万葉集』は必読だが、長いので生徒には斉藤茂吉『万葉秀歌』岩波新書で免じてあげていいだろう。

平安時代日記文学を使って、「紫式部日記」、「御堂関白記」あたり有名所で古文の勉強と兼用。音楽は神楽でよいだろう。「大鏡」が面白いかも。

鎌倉時代】「吾妻鏡」読んだり、鎌倉に笠懸見に行ったり。

建武の新政】『桜井の訣別』一択。

室町時代】戦国時代はなんかのゲームで良いとして、最初の方は思いつかん。

安土桃山時代】なし

【江戸時代】「御駕籠は行きます東海道・・・」の歌とか?「お江戸日本橋・・・」とか? 桜田門外の変は、『侍ニッポン』だろうな。

【明治時代】『広瀬中佐』・『水師営の会見』。『水師営の会見』は歌詞全部覚えているか、あやういぞ。

【大正時代】

【昭和時代】『昭和枯れすすき』でいいや。

【平成時代】ないね。